Worldias Chronicle(邦題:ツンデレ戦記)

株式会社トミーウォーカーのPBW『シルバーレイン』のキャラブログ。

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The Knight's Sunrise Ⅱ

彼は読書が好きだった。知的好奇心が非常に高かった。また、言葉遊びに執心し、特にRhyming(韻文詠唱)に関しては、暇さえあれば口ずさむ有様だった。故に、彼の両親が亡くなってからも、一人で本を読んだり、身の回りの疑問符を一つ一つ消していく事が苦ではなく、むしろ好んでやっていた。


理由の一つに、おぼろげな記憶の中、「ウィルウォードの騎士」としての身近な目標であった父がいた。もちろん、彼の父は彼が4歳の時に日本で亡くなっている。彼が生まれてから、父は母と共に度々日本とイギリスを行ったり来たりしていたので、父と一緒にいた時間や、記憶はあまり多くは無い。しかし、だからこそ彼は幼いながらも、父の振る舞いや雰囲気、言動の端々に、黄金の誇りを感じる事が出来たのだろう。


しかし、物心着く前、いや、着いた頃にいなくなった。そして、彼の追うモノは、共に成長し、衰退し、やがては追い抜くハズの父親ではなくなった。自分には到達できない領域にいる存在。いくら自らが成長し、例え当時の父を抜いたとしても、彼の中にいる「自分では触れない父」は決して越えられない。つまり「伝説」になった。


元々体格の良い体つきでは無かったが、姉の薦めや、彼の目標もあり、運動もそこそこはしていた。中々にしなやかな体つきで、人並み以上に運動能力もあったが、小学校(と言っていいものか疑問だが)に入るまでは、格闘術や喧嘩は下手糞だった。


そんな彼が、小学校に入学し、エリートが一同に集うクラス内「優等生」の地位を確立するのは時間の問題だった。ただし、彼にはほとんど友人は出来なかった…が。

「おいウォルディ!鬼ごっこやろう、ぜ……まぁた本読んでんのかよ?何々?…クラウゼ…ヴィッツ…?誰?」
「………」
「ウォルディアス君!今日はボクの家でパーティがあるんだ!ボク達の威光に肖ろうと、美しいお姉さんや整ったジェントルメンが寄って来るよ。イバり放題だ。当然、キミも来るよね?」
「………」
「ウィルウォード君~こっち来て一緒にお昼食べましょう~。私たちと嬉し恥ずかしで楽しくお喋りしながら~。」
「………」


……何故か友達が出来ない彼だったが、嫌われはしなかった。同じ班になれば面倒な仕事は全部やる。頭も良いし、体育も出来る。特に後者は女子に大幅なイメージアップだ!そして、彼は、基本的に本のむしとなり(とはいえ、彼が読んだ本にはもれなく注釈やサインがしてあり、また個別のノートまであった。流し読みではなく、文字通り全てを吸収したのである。)小学生活も後半を迎えたのだった。
こんなエピソードがある。

ある寒い冬の日、外では異常気象かと思われる豪雪になった。朝方には雪が「普通」ではない量積もっているだけだったが、交通はパンク、どの家も除雪作業で「普通」ではない生活を営んでいた。
しかし、「普通」の小学生では無い彼等は当然のように登校し、当然のように休校だと知り、また、当然のように遊び始めた。

「雪合戦をしよう。」

誰かが言い出した。小学生の快活さと、軍隊の規律を以ってすれば、計画、決定から実行まではすぐだった。すぐさま人数は分けられ、陣地、ルールが決まった。

「赤チームと青チームに分かれ、旗を持ち帰るか、全滅させた方の勝ち」

赤チームは青チームに比べ下級生で占められ、若干不利に思われた。しかし問題は無い。赤チームには、彼がいた。

青チームが和気藹々と作戦を決め、各々が自由に陣地構築している頃、赤チームは「彼」を中心に、何十も何百もパターンを想定した作戦を決めていた。陣地構築も「彼」を中心にいつの間にやら役割が決められた「工兵」が先導し、「守備兵」が主導となり塹壕の作成や弾丸の調達。「突撃兵」を中心とした戦術を練り上げ、「遊撃兵」はそのための準備に抜かりは無い。

正直、遊びなのか本気なのか分からない状況で、陣地構築を終えた両チームの戦いが、始まった。

体格と数に勝る青チームが、長距離砲で牽制しながらじりじりと近づいてくる。対する赤チームは塹壕に隠れ、防御に徹する。突撃兵は右翼より様子を伺い、遊撃兵は散兵戦を繰り広げながら戦場を駆け巡る。そして赤チームの射程内に入った時、激しい銃撃戦が始まった。

「攻撃側は防御側の三倍いるんだぜ?『ソンムの戦い』に学べよ!センパイよぉ!!!」
攻撃側が防御側の三倍兵を要するのは兵站面での問題等を考慮した戦略的数字であり、局地戦においては正しくない。しかし、攻撃側の被害のほうが一般的に多いのは事実である。赤チームの反撃により想像以上の被害を受け、お互いが正面からぶつかる中央戦線はこう着状態になった。

「半包囲を仕掛ける。全滅させりゃ勝ちだろ。」
赤チームの「突撃兵」が、右翼より攻撃をかける!組織化された攻撃に、青チームの左翼が崩れかけた。そこで塹壕戦を繰り広げていた守備兵も突撃兵に合流し、怒涛の攻めを見せた。しかし、元々が上級生だ。地力で勝負する会戦方式では赤チームに利は無い。徐々に不利になったと思いきや、蜘蛛の子を散らすように逃げ、塹壕や陣地に帰っていった。

「焦ったなぁ。ガキどもぉ!!」
中央が瓦解した赤チームの塹壕、陣地に、青チームがなだれ込む!見事に構築された陣地戦で戦力をかなり削がれたとはいえ、流石の青チーム、タフさが違う!守備兵のほとんどいなくなった陣地、それでもかなり保ったが、守備隊は皆殺しにされ、陣地は蹂躙された。思い思いに破壊し、旗も奪われ、後はそのまま、青チームの陣地に持って行けば勝ち!後は来た道を戻り凱旋するのみ。だったのだが…

「All Right.目的は貴様らの陣地だ。」
この声の主は既に、青チームの陣地を制圧していた!
彼は蜘蛛の子を散らすように逃げ、中央を手薄にすることによって、敵のほぼ全戦力を前に集中させることに成功した。
元々遊撃兵が上手く敵陣地へ道を作りながら展開していたおかげで、機動力を上げ、敵陣地へ奇襲することに成功。赤チームの頑強な陣地が耐えているうちに敵陣地を制圧。青チームが「無駄に」陣地を破壊しているうちに、散った蜘蛛の子を再収集、展開させ潜伏。青チームが凱旋した時、蹂躙されたとはいえ、まだ充分に防御機能のある陣地、塹壕に入り込んだ。

結果、赤チームは「全兵が陣地、塹壕により守られた状態」で青チームを包囲する事に成功。そして、『マラトンの戦い』並みの一方的な展開が予想される状況に陥れた、小さき騎士の司令官の一声。

「CheckMate.」


その後、青チームにいた姉に家で泣かされたのは、歴史の闇である。
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この記事へのコメント

まるでナポレオンだ!

鮮やかな戦陣指揮、いと美事なり。
その後の姉の挙動まで予測できていれば完璧でしたな。 (゚∀゚)

  • 29/09/2006
  • 比留間の中の人 ♦mD5gn8q6
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当然元ネタはナポレオンだ!

書いてるうちに姉のBUを注文したくなってきたぁ(ぇ

稚拙でうすっぺらい昔話、まだまだ続きます!乞うご期待!

  • 29/09/2006
  • W.W(の中の人) ♦-
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  • 編集 ]
あっぱれです!

見事な戦術に驚きと尊敬の念を抱きますね。
その後のオチには笑わせていただきました(笑)

それとこちらの方もリンク貼らせていただきましたm(__)m

  • 30/09/2006
  • 明歌の後ろの人 ♦-
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  • 編集 ]
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