Worldias Chronicle(邦題:ツンデレ戦記)

株式会社トミーウォーカーのPBW『シルバーレイン』のキャラブログ。

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The Heritage.

姉さんが、死んだ。

まだ12歳の彼はそれを認める事が出来なかった。
いや、理解はしていた。納得もしていた。ただ、認めたくなかったのだろう。
彼と最後に交わした言葉は約一ヶ月前、新年を迎えてまだひと月ほどに遡る。



「ねぇ、うーちゃん。私、明日から日本に旅行に行くんだ!羨ましいでしょぉ!? ハラキリ、ゲイシャ、ニンジャにサムライだよぅ!」

「うるさいなぁ…旅行でも何でも勝手に行けばいいよ。…俺は学校があるから行けないの知ってて嫌がらせなの?」

- 快活な姉に、少し背伸びした弟。兄弟構成としては上々の設定である。ただし、彼らには親がいない。否、彼らには『もう』親はいない。そして、有象無象の莫大な「遺産」は、彼らに「敵」と「味方」、「自由」と「責任」の存在を教えた。

「にゃはは♪うーちゃんも大人になったねぇ!あ、妬いてる?大丈夫大丈夫!友達と行くのです!そこらへんの野郎に興味は無いよ♪」

- 英国の騎士、ウィルウォード家。起源は定かでないが、おそらくは中世以前より存在したのであろう。古代ローマの英雄、ユリウス・カエサルの言葉、「Veni Vidi Vici」が家訓である。古き歴史と血塗られた戦功は財産、名声、伝説…そして子孫となり、確かに在った事の証明になる。彼らに流れる血にはそれに相応しい気高さと、品格を求められる。

「なんなんだよ!自慢したいだけなの?自慢ならメイドさんにでもすればいいだろ。炊事洗濯掃除に家庭運営まで姉さんがやっちゃうんだから、メイドさん、する事が無くてプラプラしてるじゃないか。」

- 騎士。というのは爵位であり、現代ではほとんど敬称としてのステータスシンボルで以外はありえない。故に、社会的な利益や特権は何も無い。尤も、ウィルウォード家は野心家では無かったので、権利や物欲に興味を持たなかった。故に、野心家達の陰謀や争いを免れ、今現在、爵位家としての一般的な「富豪」の地位に就いているというのは皮肉な話だが。

「うーちゃんに聞いて欲しいのぉ~!炊事洗濯なんてついでよ。ついで!実力を伴わない金持ち貴族になるつもりは無いわ!クールでカッコイイ騎士になるのよ!うーちゃんもね♪ …それでね…だから、私はいなくなるのよ。明日から…だから」

- しかし、彼らはその「飾り」に拘った。「装飾」が持つ「魅力」にではない。「誇り」に拘った。ひたむきに向上し、ひたすらに前進する。見せびらかして驕るわけではなく、かと言って荷が重いと言って捨てるわけでもない。その血統、その誇りを背負い、自らの物にしても恥じぬよう、心無い他人に分不相応だと言われる事すらも無いよう。

「ああもううるさいなぁ!勝手に行けばいいよ。家の事は大丈夫。メイドさんもいるし、俺だって出来ないわけじゃない。姉さんもいちいち気にせずに、楽しんだらいいよ。 んじゃ、俺は上で勉強するから。」

- 事実、彼らは努力した。年端も行かぬ騎士は学びに学んだ。机上の空論にも学び、精神論すら取り入れた。砂漠の中のコンタクトレンズも見つけるまで探し、年齢や体格、人生の長さの不利は、さながら原液のように濃縮された学習、鍛錬で補った。ほほえましい背伸びから、痛々しい身体の傷まで、全てがそれを物語る。

「あっ!うーちゃん!待って!……………仕方ないなぁ………もう………」

そして、二人の騎士は永遠に別たれた。

残された少年が何を想うのか、知る術は無い。
しかし、どのような感情であれ、彼の人生を大きく決定付けたのは確かだ。
何故なら今ここに、ウィルウォード家の「血統」が、「誇り」が、「意志」が、確かに「在る」のだから。
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